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マーケティングの力で
紀の川市の農業をもっと輝かせたい
マーケティングの力で
紀の川市の農業をもっと輝かせたい
田邊 紗耶香 SAYAKA TANABE
紀の川市民歴3年
大阪出身で和歌山育ち、就職を機に上京し、17年間東京で活躍してきた田邊 紗耶香さん。実家は紀の川市で桃農家を営んでおり、昔のような「田舎暮らし」に憧れはあるものの、なかなか移住に踏み出せないでいた。コロナ禍で、終わりの見えない自粛生活の中、東京に住み続けることに疑問を感じた紗耶香さんは移住を決意。移住を決めてから約1ヶ月半で紀の川市民となる。
車道の脇に桃の畑が見えている。少し先には大きな桃のオブジェや看板も立っており、このまちが農業に力を入れていることがうかがえる。しかし、紀の川市の農業は本当にこのままでいいのだろうか?もっと魅力を伝える方法があるのではないか。マーケターの視点から紀の川市の農業をみつめ、1児の母として子育てをする紗耶香さんのもとを訪れた。
目次
紀の川市への移住に、魅力を感じたきっかけ
東京で就職してから約17年間、その後半紗耶香さんは、マーケターとして活躍してきた。田園風景が身近に広がる「田舎暮らし」に憧れはあるものの、東京を離れることを真剣に考えたことはなかったという。
移住への気持ちが高まったのは、息子さんが2歳になった頃のことである。紗耶香さんの実家は、紀の川市桃山町にあり、家庭菜園で野菜を育てていた。ある日、息子さんがその野菜を「おいしい」と言って食べたのだ。当時の息子さんは、子どもによくある野菜嫌いで、紗耶香さんはどうやって野菜を食べさせようかと日々苦戦していた。 そんな息子さんが、もりもりと野菜を笑顔で頬張る。衝撃的だった。 その姿を見て、この素晴らしい野菜の育つ自然の中で、子育てがしたいという思いが強くなった。
しかしこの時は、現実的に生活環境を大きく変える決断ができなかった。「非日常だからこそ輝いて見えたんだ」「都会には、田舎にはない利便性もある」と自分に言い聞かせ、諦めていた。
コロナがもたらした転機、移住の決意
移住への大きな転機となったのは、コロナだった。行動制限がかかり、ほとんど家から出られなくなったことで、自分の生活、仕事、子育てのことを見直す機会ができたのだ。 マーケターの仕事は、パソコンとネット環境さえ整っていれば、調べ事も、資料作りも、ミーティングもでき、リモートワークでも問題なく続けることができる。1年経っても自粛の状況に変化が見られず、その終わりも見えないと感じたとき、都会を離れるメリットの方が大きいのではと、ついに移住を決意。すぐ行動に移した紗耶香さんは、勤めていた会社に交渉し、決意から1ヶ月半後には紀の川市民になっていた。
多くの大人が子育てにかかわる
助け合いと、あたたかい紀の川市の文化
移住して良かったことしかない、と紗耶香さんは言う。
都会では、学校や習い事など、子どもに関わる物事は、自身が「サービスを受ける側」となって人と関わることが多かった。一方、紀の川市には紗耶香さんが求めていた、お金では買えない助け合いやコミュニケーションが文化として根付いているという。
例えば地域の大人が「息子さん、今日しっかり挨拶してくれたよ」や「この間あそこで遊んでいて、こんなことを工夫していたよ」など、頼まなくても紗耶香さんに様子を教えてくれるのだ。
紗耶香さんは1人で子育てをしているが、たくさんの大人が関わってくれるため安心して子育てができている。
そんな温かいまちの人たちは、のんびりしていて優しい人が多い。紀の川市での生活は、時間がとてもゆっくり流れているように感じる。生活に余白ができたことで、新しい仕事や働き方に挑戦する余裕も出てきた紗耶香さんは、「東京にいたころよりも、少し優しくなれた気がする」とおだやかに笑っていた。
マーケター視点で農業を見る
紀の川市の農業をもっと輝かせるために
紀の川市に来て、桃農家をしている実家のマーケティング支援を始めた。丹精込めて作った桃を、市場では規格外などの理由で捨ててしまうことがあるという現実を知ったからだ。どうにかして、この素晴らしい桃の魅力を伝え、需要のあるマーケットへ売り込めないだろうか?それを考えることは、紗耶香さんの得意分野だ。
実家のマーケティング支援をしていくうちに、紀の川市のさまざまな農業のマーケティング支援に興味が湧いた。田舎では素晴らしいものを作っていても、それをどう売り込んで良いのかをまだまだ知らない人が多い。だからこそ、自身のマーケティングの経験やスキルを活かし、この地の魅力的な農業をアピールしていくため、紗耶香さんは今日も思考を巡らせるのだった。
教えて!センパイ!
紀の川市を一言で表すとなにぷる?
ぱっとイメージするのは「深呼吸」です。
体の中に新鮮な空気がいっぱい入ってくる条件が揃ってるからでしょうか。 人ものんびりしているし、環境も良いし、朝、川の堤防を歩いていると「あぁ気持ちいいなぁ」って感じます。
移住者へのアドバイスはなにぷる?
田舎への移住って、良いイメージばかり持っている方がいるかもしれません。私は、都会も田舎も両方住んだことがあり、それぞれの良さや大変さを知った上で、今は田舎で生活することを選んでいます。移住前は想像しなかった困難に出会ったら、それを受け入れる覚悟や柔軟さを持ち合わせていてほしいなと思います!
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移住を決断、家探しをする
決めたら即行動。紀の川市の「空き家バンク」なども利用し、家探しをした。結果として「空き家バンク」ではない民間の不動産情報サイトで見つけた家に決めた。インターネットでの情報収集がコロナ禍かつ遠方に住んでいても便利だった。
ご家族が内見に
実は紗耶香さん自身は、実際に家は見ないで入居を決めている。家探しの際に大切にされたポイントは、やはり子育てに関するもので、①小学校へ歩いていけるか②図書館に小学生の子ども1人で通えるか、の2点だったという。
この記事を書いた人
ご実家である桃農家さんのマーケティング支援から、紀の川市全体の農業のマーケティングに興味を持った紗耶香さん。紗耶香さんの人生の旬は「常に今」だという。常に前を向き、まっすぐ生きている紗耶香さんなら、今までの知識や経験を存分に活かし、紀の川市の農業をもっともっと盛り上げてくれることだろう。