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自走する地域社会の構築へ!
元ホテルマンの挑戦がこれから始まります

自走する地域社会の構築へ!
元ホテルマンの挑戦がこれから始まります

二瓶 直樹 Nihei Naoki

全国各地をホテルマンとして勤務をしながら地域交流活動に興味を持ち、株式会社CASEの地域交流から人々の縁を結ぶという方針に感銘を受け現職に就く。

柔らかな物腰と丁寧な言葉遣い。前職がホテルマンと聞いて納得の二瓶さん。14年間勤めたホテルを退職し、現在、株式会社CASEから紀の川市に地域活性化企業人として派遣されている。地域発展に何が必要かを探す毎日だ。

地方の綺麗な土地や、山を残したい

地域交流に興味を持ったのは数年前。
前職の小田原市のホテルから見える傾斜地の風景は、四季折々に木々は色を変え、素晴らしい眺めだった。近隣の地域の方と交流し、ホテル側の人間として意見交換した時、様々なその土地の苦労を聞いた。

農地や山を守っていきたいが後継者もなく、荒れていく一方という。農地を売るには法律により厳しい制限がある、という問題を知り、素敵な景色は残したいが、担い手のない土地が行き場を失っていることを知った。過疎化が進む地方の土地を、新しい人によって再生することはできないか?二瓶さんは地域社会の共存について、日々想いを巡らせていた。そしてホームページで株式会社CASEの取り組みを知り、転職することにした。

空き家の活用は、決して簡単ではない永遠のテーマ

ホテルマンから地域プロデューサーとして新しい分野を開拓する二瓶さん。株式会社CASEでは空き家の活用が主な仕事だ。大きく言えばホテルも一軒の家であり、近隣住民に愛されないと存続できない。今、事務所がある打田駅前通りも、昔は商店が並び、大勢の人で賑わっていたという。全国各地の地方で始まっているどこにでもある寂れた風景。通りを歩いてみると、駅前なのに空き家が多いことに驚かされる。

実際その土地に住んでみると、空き家の情報が全く出てこない。空き家らしいが、誰が管理しているか分からないという状況が多いのだ。田舎であるから、世間体を気にして教えてくれないし、情報を出そうとしてくれない。まず必要だと感じたのは、住民の信頼を得ることだった。

「株式会社 CASE 紀の川支社」で法人登記も済ませ、地域に移り住んで、住民交流を図る。
自治会に入り、借りた空き家を自らリノベーションする。その土地に住むことで住民とのコミュニケーションやつながりを強くしたい。

多くの空き家をリノベーションしてサブリースしていくことも空き家活用への第一歩だ。その場所が会場となり、人が集まって、行事が開催されたり、日常使いとしてお茶を飲みに来たり、世間話をしてもいい。トライアル的な場所として短期間貸すこともある。

2022年秋に開催した祭りは、予想外の大成功!

住民の方々との交流を兼ねて、地域の人たちと協力して祭りを開催した。
予算がなかったため山から竹を切り出して竹灯籠を作り、広場や裏通りに並べるシンプルな秋祭りを企画。二瓶さんは、打田駅周辺の利用できそうな場所に1か所ずつお願いに回った。コロナ禍で、よそ者の自分のお祭りをしたいという要望を、誰がくみ取ってくれるのだろうかと、不安でいっぱいだった。

自治会の協力で、現在は集会所として利用されている毘沙門堂という神社を貸してくれることになり、隣接のタクシー会社も空きガレージを貸してくれ、縁日やマルシェをすることになった。紀の川市特産の果物や駄菓子の協賛も決まり、コントやマジックをしてくれる人々も見つかった。地元の大学生が、運営ボランティアをかって出てくれた。誰が遊びに来てくれるのかという不安いっぱいで当日を迎えたが、子ども達や若者、高齢者が入り混じって打田駅前が人で溢れた。


「こんな大勢の人々が、この地域に暮らしていたんだ」


二瓶さんはうれしさと同時に驚いた。車が渋滞するでもなく、違法駐車が起こったわけでもなかった。遠くから集まった人々ではない。地域の人々が徒歩や自転車で集まって来たのだろう。いつもの殺風景な通りが、嘘のような人だかりで、昔の祭りのように活気があって、でもほっこりとした空間になった。子どもが笑いながら駆け回り、大人たちが見守る。
祭りという名のもとに多世代の交流が生まれていた。

休みの日は、県内の道の駅に出向いて、和歌山の農産物を買ってきては自炊する二瓶さん。
和歌山にどんな場所があり、どんな食べ物があるか知るためだ。「和歌山に来てから特に自分を律して働いています。地域おこし協力隊の林さんとふたりだけの職場ですが、手を抜くことはできない性分なのです」厳しい規律順守とすべてのお客様に目を配ることは、ホテルマン時代に身に着けた。地元の人のゴミ出しや掃き掃除の風景をみるだけでも、どのような人がいて、どのような日常がそこにあるのか察することができる。

「建物のリノベーションだけでなく、地域の色というか、住民の人々の共感や感動を生み出すことを活動のベースに考えています」二瓶さんの笑顔の交流は、人と人を繋いていく。

取材:2022年12月15日