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龍門山と紀の川河川敷、
ここでしか出会えない生き物たち

龍門山と紀の川河川敷、
ここでしか出会えない生き物たち

みなさんこんにちは、「きの かわいち」です。お元気でしょうか。
寒さが厳しい日が続いていますね。これは春になる前の、冬の追い込み!なんて、私は思っていたりします。

さっそく本題ですが、今回はですね、みなさんに紀の川市の自然をご紹介をしたいと思います。紀の川市には、龍門山というたくさんの野鳥や昆虫、植物などが暮らす自然豊かな山があるんです。紀の川市に移住して、ずっと気になっていた龍門山のことを、龍門山の自然を守る会の会長に直接お話を聞けました。なんとなく「近所のお山」だと思っていた龍門山のイメージが、そして、紀の川市の自然の印象が変わる機会でしたので、最後までぜひご覧ください。
それではさっそく、この時の様子と実際に龍門山を少しだけ登った時の写真をみなさんへお届けいたします。どうぞ!

季節によって変わる、龍門山の生き物

「龍門山の自然を守る会」会長の中村進さんに聞いてみた

龍門山の自然を守る会の会長である中村進さんは、1983年に奥様の地元であった紀の川市へ大阪から移住してきました。移住して38年!私は移住歴1年目なので、大先輩の中村さんのお話は興味しかないです。
幼少期より昆虫少年で自然や鳥が大好きな中村さん。自宅の庭でフクロウやたくさんの種類の鳥を見ることができ、紀の川市での生活に感動しているそうです。また、10月最初の5日間だけで、庭で28種類の蝶が確認できたとか、すごい。フクロウを自宅で見られることには驚きです。もしかしたら、我が家の庭にもフクロウが来るかもしれないですね!あ、だけどその際は、そーっと見るだけにとどめておきます。

中村さんから聞いたお話をみなさんに説明しながら、私は中央コースで龍門山の中腹の明神岩・山頂まで登ることにします。いざ!

ヤマザクラが咲くと舞う蝶、ギフチョウとは

みなさん、ギフチョウという蝶を知っていますか。私は今回初めてその名を聞きました。龍門山はギフチョウの南限の地として有名でしたが、1980年代にすでに絶滅しており、中村さんが初めて龍門山を訪れた時も、残念ながら見ることはできなかったそうです。今龍門山で見られるギフチョウは、放蝶した個体が定着したものです。飼育して蛹まで育てた100頭くらいのギフチョウを2年連続で山頂に持って行くという、地元の方の活動のお陰で、今では毎年ギフチョウが見られます。

「ヤマザクラが咲くとギフチョウが舞う」なんて素敵な表現だろう…。ギフチョウが飛んでいる姿を見られる期間は、4月初旬から4月下旬と、とても短いです。その間に卵を産んで6月中旬から下旬に蛹になり、夏秋冬を越え春に羽化します。蛹の期間って、長いなぁ。それがギフチョウの周期だそうです。蝶の姿が見られる期間は貴重ですね。

ギフチョウ(メス)/中村進さん提供写真
ギフチョウ(オス)/中村進さん提供写真

龍門山の土壌が生む固有種たち

龍門山の形は地下からマグマが持ち上がってできたそうです。蛇紋岩の土壌は、植物の成長を阻害するアルミニウムとニッケルがたくさん含まれています。龍門山の植物は、これらに耐えられる植物なんですね。中村さんが仰るには、蛇紋岩の土壌では固有種が生まれやすいため、龍門山だけでしか見られない生き物がいるそうです。ということは、もしかしたら龍門山から新たな植物が生まれるかもしれないということですよね。ね!なんだか夢が広がります!!

5月には、和歌山県の天然記念物に指定されているキイシモツケが登山道にかぶるくらい咲きます。秋には、絶滅危惧植物であるムラサキセンブリやヤマラッキョウが見られます。今まで「近くのお山」だと思っていたのに、こんなにも珍しい蝶や植物が見られる山だったなんて、驚きしかありません。

キイシモツケ/中村進さん提供写真
ムラサキセンブリ/中村進さん提供写真
ヤマラッキョウ/中村進さん提供写真

さぁ、みんなで見よう!年に4回行なう観察会

中村さんが会長を務める「龍門山の自然を守る会」は、約80名の会員の方がいます。会員の方だけでなく誰でも参加できる観察会を毎年4回行なっています。
・4月上旬は「紀の川河川敷の観察会」
・4月下旬は「春の観察会(ギフチョウや春の花、鳥、昆虫など)」
・5月下旬は「初夏の観察会(キイシモツケや初夏の花、鳥、昆虫など)」
・10月下旬〜11月上旬は「秋の観察会(ムラサキセンブリやヤマラッキョウなど)」

観察会の内容はこんな感じです。あら?ん??紀の川河川敷の観察会?
龍門山だけではないのですね?

龍門山観察会の山頂での様子/中村進さん提供写真
龍門山観察会の山頂での様子/中村進さん提供写真

紀の川の河川敷にいる絶滅危惧種

中村さん曰く、絶滅危惧種になりそうな鳥の繁殖地が紀の川の河川敷にもあるとのことです。え!!?紀の川市には天然記念物や絶滅危惧種がそんなにもいるのかと、またまた驚いちゃいました。
紀の川の河川敷は大きく開けており、石がごろごろと隙間なく転がっています。石ころだらけの河川敷に卵を産む鳥、イカルチドリやコチドリがここで繁殖しているそうです。大きく開けた河川敷は、公園や野球グラウンドなどになることが多いですが、紀の川市にある紀の川の河川敷は今も自然のままに残されている場所が多いからだそうです。自然のままって大事ですね。河畔林も大切な鳥たちの住処だと中村さんが教えてくださいました。自然ってうまくできています。

「龍門山の自然を守る会」とは?現在と今後について

「龍門山の自然を守る会」では、年に4回の観察会の他に、文化祭での展示、龍門山にある樹木への名板付け、専門家による講演会の実施などを行なっています。
2012年のみどりの日に、これらの活動が認められ、自然環境功労者環境大臣賞「保全活動部門」に選ばれました。全国で20団体の1つに選ばれたそうです。

その表彰状はふるさとセンター2階に展示されています!素晴らしいですね!!

活動から見えてくる、龍門山の問題と今後

このような観察をすることによって、変化に気づくこともできます。
龍門山では、ウグイスの繁殖場所である笹薮に、外来種ソウシチョウが繁殖し増えています。そのため蛇やイタチが卵を狙って集まり、ウグイスの繁殖率が落ちています。
また、近年全国的に鹿が増加し、龍門山でも今年は鹿の鳴き声が聞かれています。鹿が一度入り込んでしまうとウグイスなどの繁殖する笹薮はもちろん、それ以外の植物や樹木の芽生えだけでなく、樹木の皮をはいで食べてしまうので、もし鹿の繁殖が龍門山で進めば、今ある貴重な植物たちが食べられて絶滅してしまうかもしれません。
これらの問題を解決することは大変難しいとのことです。

なんだか切ないですね。

今回「龍門山の自然を守る会」では、里地・里山環境保全推進事業の補助金を受け、生き物の目録を作る活動を行なっています。紀の川市の生き物についてまとめられた記録はこれまでほとんどなかったそうです。そのため、これを機に龍門山だけでなく、紀の川市全体の生き物の目録を作ることに奮起されています。現在いる生き物を記録しておくことは、紀の川市の自然の現状を把握し、今後の環境や変化を観察するうえで大いに役に立つものになると、私は思いました。
そして目録を作るのなら、もしかしたら!新しい植物が発見されるのではと、またまた想像が広がっちゃいますね。

さいごに、みなさんへメッセージ

龍門山の明神岩・山頂まで、中村さんから聞いたお話をしながら登ってきました。ここから見る紀の川市の自然が一段と素晴らしく感じます。
この景色を見ていると、あの紀の川河川敷にも生き物がいて、それを守ろうとする方たちがいる。一体私には何ができるのだろうと考えてしまうのです。あたりまえのように日々感じている自然が今後どうなっていくのか、そんなことを考えてしまうのです。龍門山には、これからもそれぞれの季節の自然を楽しみながら登り、今ある自然に感謝したいと思う体験でした。その時は妻と一緒に、この龍門山と紀の川市の自然について話しながら一緒に登りたいと思います。

わぁ!失礼しました。しんみりしちゃいましたね。
だけどね、不思議な感じがするんです。紀の川市って自然に包まれているようなそんな感じがするのです。

今回も最後まで読んでくださり、どこか田舎に住んでみたいと考えている方、移住先を探している方は、「紀の川市」一度見に来てください。
そして、もし紀の川市を少しでも気に入っていただけましたら、ぜひこちらでお話をさせてください。
あなたの人生の旬を「紀の川市」で・・・

それでは、又、次回をお楽しみに!以上、きの かわいちでした。

この記事を書いた人

きの かわいち

30代後半の会社員です。
田舎ぐらしに憧れていたわけではないですが、紀の川市に惹かれるものがあり、思いきって夫婦で移住を決意しました。
今は、休みの日に紀の川市の新たな魅力を、発見をするのが楽しみとなっています。